着物の季節と衣替えルール!初心者にもおすすめの通年柄や5月6月9月10月の着物

2021-11-11

今の季節、どんな着物、着ればいい?

まだ5月なのに、夏のように暑い!単衣にしてもいい?

9月、うだるような残暑、衣替えしなくてはいけない?

着物の季節感、なかなか難しいものです。

近年は、地球温暖化、気温の上昇が進み、盛夏前後の5月、6月、9月、10月に着る着物が、衣替えのしきたり通りというわけにはいかなくなってきています。今回は、

  1. 着物の季節ルール
  2. 衣替えの決まり
  3. 季節の変わり目、5月、6月、9月、10月に着る着物と着方
  4. 通年着用OK!初心者にもおすすめの柄

についてです。

まずは、着物の季節と衣替えの基本的なルールから始めましょう。

次に、季節の変わり目、何を着ればいいのか難しい時季の5月、6月、9月、10月に着る着物と着方をみてみましょう。

そして最後には、着物初心者さんにおすすめ、年中着こなし簡単な通年柄を紹介します。

着物の着用時期による種類「袷・単衣・薄物」について関連記事がありますので参考にしてみてください。

着物の種類!初心者の季節のルール決まり!袷?単衣?薄物?

 

目次

季節と着物・袷、単衣、薄物の着用時期

まずは、基本からです。袷と単衣、薄物の着用シーズンをみておきましょう。

袷(あわせ)

袷の着用シーズンは、10月~翌年5月頃、暖かい、暑い時期以外です。

単衣(ひとえ)

単衣の着用シーズンは、6月と9月の、季節の節目です。

春から夏にかけて「暑くなってきたなぁ~」と感じる時、

秋から冬にかけて「肌寒くなってきたなぁ~」と感じる時期です。

薄物(うすもの)

夏物のことです。

薄物の着用シーズンは、7月と8月の盛夏です。

 

衣替えの決まり

衣替え、基本のルール

次に、衣替えの決まりをみていきましょう。

一番長く着るのが袷で、10月から冬を越えて5月末まで過ごします。

6月、単衣に衣替えします。

7月と8月の盛夏の頃は、薄物といわれる夏物で過ごします。

9月に再び、単衣に戻ります。

そして、10月、袷に衣替えします。

官公庁、制服のある学校や会社も6月と10月に衣替えしますよね。

和服では、この「衣替えの決まり」が重要視されています。

衣替え、昔のしきたり通りにする?

では、この「衣替えの決まり」通りに着なければならないのでしょうか?「衣替えの決まり」によると、

5月31日までは、袷を着なければなりません。

9月1日からは夏物を仕舞って、単衣を着なければなりません。

10月1日からは、袷を着なければなりません。

こんな着方をしていると、熱中症になってしまいます!

「衣替え」の歴史を遡ると、中国の宮廷の習慣が、平安時代頃に伝わったといわれています。

地球温暖化が進行している現代、平安時代の習慣通りに着物を着ていたら、着物で体調を崩してしまいます。近年の夏の酷暑は、命の危険にも晒されます。

ですから、気候に合わせて着物を着てください。

衣替えの決まり、必要?

では、着物を気候に合わせて着ていいのであれば、衣替えって、必要なくない?

そうでもないのです。

衣替えの決まり、重要

→ 気候に合わせて着ればいい

→ でも、衣替えの決まりは必要・・・・・なんだか堂々巡りになってきましたが、

ルールを知って、気候に合わせて着る

ということが必要なのです。

特に、衣替えのルール、決まり、しきたりはかしこまった場面、例えば、お茶席などでは必要とされます。

「今日はお茶会、まだ5月なのに気温がぐんぐん上がって夏日!」

こんな時、

  • まだ袷の時期だけど、今日は暑いから単衣を着ていこう、というAさん
  • 今日は暑い、というだけで単衣を着ていくBさん

Aさんのほうが、着物のしきたりを知ったうえで、季節を先取りしている粋な人です。

一方、Bさんは、何も知らない野暮な人になります。

衣替えのしきたりを知っておいたうえで、気候に合った着物でお出かけするのが粋な、お洒落さんなのです。

 

5月、6月、9月、10月に着る着物

無鄰菴

5月、6月は季節を先取りして粋!

筆者が初めて着物着付け教室に行ったのが5月、冷房ガンガンにしての着付けレッスンでした。

まぁ・・・教室なので、しきたりに従うのはわかるんですが、まだ5月なのにこんなにエアコンに働いてもらうのかと・・・

近年の5月の気温の高さからすると、5月には単衣を着てもいいです!

もしくは、着物は袷を着て、長襦袢を夏物にしましょう。

5月に袷着物を着る場合は、着物の下に着るものを軽装しましょう。

その場合は、着物に汗が移らないよう、汗対策をしましょう。

最近は、長襦袢を着なくても着ているように見せる機能的な長襦袢も充実しています。

そして、6月、夏物でOKです!

洋服でも季節を先取りするのはお洒落ですよね。和服にも当てはまります。

5月、6月は季節を先取りして、爽やか、涼しげな装いでお洒落しましょう。

9月、10月は色柄や帯・小物で秋を演出!

5月、6月に季節を先取りして夏の装いをするのはお洒落ですが、8月を過ぎて、9月になっても夏の装いをしているのはお洒落じゃないんですね。

遅れて着ることは野暮とされています。しかし!

9月はまだ暑い!!充分、夏です!!!

気温が30℃を上回っている日に、単衣を着るのはキケンです!

お洒落よりも体調を優先してください。

動画のなかでもあったように、

30℃前後(真夏日)には夏物、

25℃前後(夏日)には単衣

というに目安をつくっておくといいでしょう。

そして、9月後半から10月ぐらいに単衣へ替えておけばOKです。

着物は気温に合わせて、8月のお盆過ぎ頃からはワンポイントで秋らしさを入れるとお洒落ですね。

  1. 着物の色柄をシックな落ち着いたものにする
  2. 帯を替えてみる
  3. 帯揚げ、帯締めや帯留め、半衿を秋らしいものにする

など、秋の演出をする方法はいろいろありますが、小物を使い分けるのが一番リーズナブルでお手軽、簡単です。

帯揚げと帯締めの色、帯留めで秋の演出をするといいですね!

 

季節を問わない着物初心者におすすめの通年柄

着物を選ぶとき、着物の何を見て選びますか?

やっぱり一番目立つのは、柄です。

しかしこれがけっこう落とし穴で、柄によっては着られる季節が限定されます。例えば、

 

なでしこの花が好き!

 

といって、なでしこ柄が入った着物を選ぶとします。

なでしこの花が咲くのは、8月から9月、そのため、なでしこ柄の着用時期は夏と秋です。

春夏秋冬、季節で着物を着分ける、着物は何枚あってもいい!

こういう羨ましい方は除いて、着物初心者さんや少ない枚数で着回したいという方には、季節を問わず年中着ることができる柄(通年柄)をおすすめします。

着物初心者にもおすすめの通年柄厳選!

着物の柄に、草花などを入れると季節感が出てしまう場合があるので、

着物のコーディネートがよくわからない、

少ない枚数で着まわしたい、

という人には、通年柄をおすすめします。

着物初心者さんも着こなしやすい通年柄をみてみましょう。

無地

柄に迷ったならば、柄から解放されて無地!

無地ならば季節を問いません、コーディネートも無限大、万能選手です。

暖かみのある色は秋冬に、爽やかな寒色系は春夏に、というふうに色味で使い分けることもできます。

縞(ストライプ)

洋服でも和服でも無地とストライプはツートップです。

和服の場合、縞(しま)と呼びます。

  • 太めの縞が同じ幅で並ぶ棒縞(ぼうじま)
  • 太い縞から徐々に細い縞になるパターンが繰り返す滝縞(たきじま)
  • 遠目からは無地に見えるほどの細かい縦縞の万筋(まんすじ)
  • 縞がよろけたようにデザインされたよろけ縞(よろけじま)
  • 縞の配列・配色が不規則で華やかな模様の矢鱈縞(やたらじま)
  • 斜めに縞を配置した斜め縞(ななめじま)

等々、様々な縞があり、縞もなかなか奥深い世界です。

四季草花

草花は季節が限定されると前述しましたが、四季の草花が描かれた柄は通年着ることができます。

例えば、前例のなでしこですが、桜が加わると通年OKです。

そのほかにも四季折々の草花が描かれた柄は通年着ることができるので、お花好きな方にはおすすめです。

特に、桜は国花(日本を代表する花)なので、通年着てもOKという考え方もあります。

幾何学模様

幾何学模様も季節感がないため、通年着ることができます。

古典柄

七宝

この柄、何て名前か知ってますか?

見たことあるけど、実は何て名前か知らない、古くからあるデザインで、レトロなところが今ではお洒落な古典柄です。ちなみに、これは「七宝(しっぽう)」という柄です。

ほかにも、麻の葉、青海波、亀甲、矢絣、鹿の子絞りなど、レトロでかわいい古典柄もおすすめです。

 

まとめ

  • 近年の地球温暖化、気温の上昇から、体調を優先して着物を着る
  • 場面によっては、衣替えのしきたりが重要視される(例えば、お茶会の席など)
  • 季節の決まり事を知ったうえで、現代の気候に合わせて着用することが大事
  • 季節の先取りはOK、お洒落な人、逆に、季節に遅れて着用するのは野暮
  • 色柄や小物で季節感を演出しよう
  • 着物初心者や少ない枚数で着物を着まわしたい人におすすめの柄は、季節を問わない通年柄(無地、ストライプ、パターン柄など)

 

ルール、決まり、しきたりといった、堅苦しい話になりましたが、カジュアル着物を楽しむ分にはあまり難しく考えず、着物を楽しみましょう。

しかし、何も知らずに着物を着ると、どうしてもコーディネートがちぐはぐになってしまうことがあります。

昔からある「しきたり」は、堅苦しいだけでなく、便利なものでもあるんですね。

 

それでは、最後まで読んでいただきありがとうございました。

おおきに!